オーストラリアの就労ビザは、オーストラリア国内で一定期間働くことを目的として発給されるビザです。観光や短期滞在を前提とした電子渡航認証(ETAS)や観光ビザとは異なり、報酬を伴う労働活動を合法的に行うために必要な在留資格に位置づけられています。
就労ビザは、雇用主との関係、職種、技能レベル、滞在期間などに応じて複数の種類が用意されており、申請内容に基づいて個別に審査が行われます。オーストラリアでは不法就労に対する管理が厳格であるため、就労を伴う渡航の場合は、必ず目的に合った就労ビザを取得することが重要です。
※就労ビザの条件や制度は変更されることがあるため、申請前や渡航前には必ずAustralian Department of Home Affairsの最新情報を確認してください。
就労ビザが必要なケース
就労ビザは、オーストラリア国内で報酬を伴う業務や労働を行う場合に必要となるビザです。以下のようなケースでは、ETASや観光ビザでは対応できず、就労ビザの取得が求められます。
-
オーストラリアの企業や団体で働く予定がある場合
-
短期間であっても報酬が発生する業務に従事する場合
-
専門的な技能や資格を活かして業務を行う場合
-
インターンシップや研修が就労とみなされる場合
ETASは観光や短期商用向けの制度であり、就労は一切認められていません。そのため、就労を目的とする渡航では、滞在期間の長短にかかわらず、就労ビザが必要となります。
就労ビザの種類
オーストラリアの就労ビザは、就労形態や職種、滞在期間、雇用主との関係などに応じて複数の種類が用意されています。大きな特徴として、多くの就労ビザでは雇用主やスポンサーの存在、職種・技能要件、滞在期間の制限が設けられており、誰でも自由に取得できるものではありません。
また、同じ「就労」を目的とするビザであっても、一時的な就労を想定したもの、専門的な技能を持つ人向けのもの、将来的な永住を視野に入れた制度など、位置づけはさまざまです。そのため、渡航目的やキャリア計画に合わないビザを選択すると、滞在条件や更新の面で不利になる可能性があります。就労ビザを検討する際は、「どのような立場で、どのく らいの期間、どのような仕事をするのか」を明確にした上で、該当するビザの種類を確認することが重要です。
前述の表では、オーストラリアの就労ビザを分かりやすく目的別の区分として紹介しましたが、実際の申請や制度確認の際には、正式なビザ名称(英語)やビザ番号(Subclass)を正しく把握しておくことが重要です。
オーストラリアのビザ制度では、一般的に使われる日本語の呼び方と、政府が定める正式名称・Subclass番号が異なることが多く、情報を調べる際に混乱しやすい点でもあります。
以下では、先ほど紹介した就労ビザ区分に対応する形で、日本語での一般的な呼び方・正式名称(英語)・ビザ番号を一覧で整理しています。制度の理解を深めるとともに、公式情報を確認する際の参照用としてご活用ください。
雇用主スポンサー型(Employer Sponsored)
専門職・技能職向け(Skill-based)
一時的・条件付き就労
就労ビザでできること・制限
働ける条件
就労ビザで働くためには、ビザごとに定められた条件を満たす範囲内で就労することが前提となります。多くの就労ビザでは、あらかじめ承認された職種・業務内容・雇用形態に基づいて就労が許可されており、自由に仕事内容を変更できるわけではありません。特に雇用主スポンサー型の就労ビザでは、スポンサーとなる雇用主のもとで、指定された業務に従事することが求められます。
また、就労可能な時間や期間についても、ビザの条件や契約内容によって制限が設けられる場合があります。これらの条件は、申請時の内容を基に設定されるため、実際の就労内容が申請内容と一致していることが重要です。条件外の就労はビザ違反となり、将来のビザ申請や滞在資格に影響を及ぼす可能性があります。
職種・雇用主の制限
オーストラリアの就労ビザでは、職種や雇用主が限定されるケースが多いのが特徴です。特に雇用主スポンサー型のビザでは、指定された雇用主以外のもとで働くことは原則として認められていません。また、職種についても、技能要件や職種リストに基づいて審査されており、許可された職種以外の業務に従事することは制限されます。
このような制限は、オーストラリア国内の労 働市場を保護し、ビザの目的外利用を防ぐために設けられています。雇用主の変更や職種変更を希望する場合には、新たなスポンサー申請やビザの再申請が必要となることが一般的です。制限を理解せずに働き方を変更すると、ビザ条件違反となるリスクがあるため注意が必要です。
副業・転職の扱い
就労ビザにおける副業や転職の扱いは、ビザの種類や条件によって大きく異なります。多くの雇用主スポンサー型ビザでは、副業は原則として認められておらず、許可された業務以外で報酬を得ることは制限されます。また、転職についても自由に行えるわけではなく、新しい雇用主がスポンサー要件を満たし、必要な手続きを行う必要があります。
一部の就労ビザでは、条件付きで雇用主の変更が認められる場合もありますが、その際も一定期間内に手続きを完了しなければなりません。副業や転職を検討する場合は、現在のビザ条件を必ず確認し、必要に応じて適切な手続きを行うことが重要です。
滞在期間と更新
初回滞在期間の考え方
就労ビザの初回滞在期間は一律に決まっているものではなく、ビザの種類・雇用契約の内容・職種・申請者の状況などを総合的に考慮して決定されます。特に雇用主スポンサー型の就労ビザでは、雇用契約の期間が滞在期間の目安となることが多く、契約期間より長い滞在が認められること は一般的ではありません。
また、専門職・技能職向けのビザでは、職種や技能レベル、オーストラリア国内での需要なども判断材料となります。初回から最長期間が付与されるとは限らず、申請内容に応じて短めの期間が設定される場合もあります。希望する滞在期間が、就労内容や雇用条件と合理的に一致していることを示すことが重要です。
更新・延長の可能性
就労ビザの更新や延長は、原則としてビザごとに定められた要件を満たす場合に限り可能です。多くの場合、雇用関係が継続していること、ビザ条件を遵守していること、職種や業務内容が大きく変わっていないことなどが求められます。
一方で、単に「滞在を延ばしたい」という理由だけでは更新は認められません。雇用契約が終了している場合や、当初の就労目的と異なる活動を行っている場合には、不利に判断される可能性があります。更新や延長が可能かどうかはビザの種類によって異なるため、事前に条件を確認し、必要に応じて新たなビザ申請を検討することが重要です。
永住権との関係
一部の就労ビザは、将来的に永住権(永住ビザ)申請につながる可能性を持っています。ただし、すべての就労ビザが永住を前提としているわけではなく、永住権への道が用意されていないビザも存在します。
永住権につながるかどうかは、職種、雇用主、就労期間、英語力など複数の条件によって判断されます。就労ビザはあくまで一時的な在留資格であり、永住を希望する場合は、別途永住ビザの要件を満たす必要があります。初期段階から将来の進路を意識してビザを選択することで、選択肢が広がる場合もあります。
他ビザとの違い
観光ビザ・ETASとの違い
就労ビザと観光ビザ・ETASの最大の違いは、オーストラリア国内で「働けるかどうか」という点にあります。観光ビザやETASは、観光や私的訪問、報酬を伴わない短期の商用活動を目的とした制度であり、就労は一切認められていません。一方、就労ビザは、雇用契約や業務内容を前提として、合法的に報酬を得ることを認める正式な在留資格です。
たとえ滞在期間が短くても、給与や報酬、対価が発生する業務が含まれる場合は、観光ビザやETASでは対応できず、就労ビザが必要となります。観光ビザやETASは手続きが比較的簡素である反面、活動範囲は厳しく制限されています。就労を伴うかどうかが、制度選択の明確な分岐点となります。
学生ビザとの違い(就労目的の明確化)
就労ビザと学生ビザは、いずれも長期滞在が可能なビザですが、渡航目的の位置づけが根本的に異なります。学生ビザは、教育機関での就学を主目的としたビザであり、就労はあくまで付随的・制限付きで認められる活動です。一方、就労ビザは、最初から働くことを目的として発給されるビザであり、業務内容や雇用条件が審査の中心となります。
学生ビザで認められる就労には時間制限や条件が設けられており、フルタイムでの就労や就労目的のみの滞在は認められていません。学業より就労が実態として中心となる場合、学生ビザの趣旨に反すると判断される可能性があります。就労を主目的とする場合は、最初から就労ビザを選択することが重要です。
就労ビザにおける注意点
雇用主依存のリスク
オーストラリアの就労ビザは、雇用主スポンサーに強く依存する仕組みとなっているケースが多く、これが大きなリスク要因となります。雇用主スポンサー型の就労ビザでは、特定の雇用主のもとで、承認された職種・条件に従って働くことが前提です。そのため、雇用主との契約が終了した場合や、事業縮小・倒産などが発生した場合、就労の継続だけでなく滞在資格そのものに影響が及ぶ可能性があります。
また、雇用主を自由に変更できないため、労働条件や職場環境に問題が生じても、すぐに転職できないケースがあります。新たな雇用主へ移るには、スポンサーの変更手続きやビザの再申請が必要となることが多く、時間的・制度的な制約が生じます。就労ビザを利用する際は、雇用条件や雇用主の安定性を事前に確認しておくことが重要です。
条件違反時の影響
就労ビザでは、定められた条件を遵守することが滞在の前提となっており、条件違反があった場合の影響は非常に大きくなります。たとえば、許可されていない職種で働く、指定外の雇用主のもとで就労する、副業が禁止されているにもかかわらず報酬を得るなどの行為は、ビザ条件違反と判断される可能性があります。
条件違反が確認された場合、ビザの取消しや将来のビザ申請への悪影響、最悪の場合は出国を求められることもあります。また、違反内容が記録として残ることで、他のビザへの切り替えや永住権申請に不利に働く可能性も否定できません。知らずに違反してしまうケースもあるため、ビザ条件は必ず確認し、疑問がある場合は慎重に判断することが重要です。
よくある質問
01
短期間の仕事でも就労ビザは必要ですか?
はい。報酬や対価が発生する業務を行う場合、期間の長短にかかわらず就労ビザが必要です。数日間の業務や短期プロジェクトであっても、ETASや観光ビザでは就労は認められていません。
02
就労ビザがあれば、どの会社でも自由に働けますか?
いいえ。多くの就労ビザでは、指定された職種・雇用主のもとでのみ就労が許可されています。雇用主や職種を変更する場合、追加手続きや再申請が必要となることがあります。
03
就労ビザで副業やアルバイトはできますか?
原則としてできません。就労ビザでは、許可された業務以外で報酬を得る行為は制限されることが一般的です。副業を検討する場合は、必ずビザ条件を確認する必要があります。
04
雇用契約が途中で終了した場合はどうなりますか?
雇用主スポンサー型の就労ビザでは、雇用関係の終了が滞在資格に影響する可能性があります。状況によっては、別のビザへの切り替えや出国が必要となる場合があります。
05








